素晴らしい音楽を聞くと、音楽をしたくなるように、佐々木中の文章は、読む人を表現に駆り立てる力を持っている。誰にも真似することのできない語り口で綴られる恋愛小説集。その言葉たちの瑞々しさにまた恋をしたくなる。
山中千尋さん(ジャズピアニスト) ▶web
佐々木中のスウィートソウル。思わず身体を揺らさずにはいられない生々しいビートを内包した文章。物語は結ばれ、そして夜に向かって開いていく。
椎名純平さん(ソウルシンガー) ▶blog
読むことについて、書くことについて、感動や喜びだけではなく、僕の気概と決意を蘇らせてくれたのは佐々木中さんでした。困難の中でも響き、確かに届く言葉があるのだということを彼は証明し続けています。
後藤正文さん(ASIAN KUNG-FU GENERATION) ▶web
『短夜明かし』を読んで、以下送信ボタンよりメールで感想を送ってくださった方に、『短夜明かし』関連ヴィジュアルデータや、佐々木中さんの未発表&未刊行テクストなど、特製デジタルコンテンツをプレゼント※1します。
(未発表テクストは、単行本未掲載の書評、随筆などのほか、「『短夜明かし』の或るヒロインが書いたもの」、として書かれたものも含まれます!)
素敵な感想は当特設ページにてご紹介※2させていただきます。
たくさんのご参加ありがとうございました!
※1 2014年9月末までにお送りいただいた方に
10月3日〜4日ごろ、メールでダウンロードコードをお知らせいたします。
※2 ご紹介させていただく際には、事前にメールで詳細のご連絡をさしあげます。
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五感がふるえ、からだじゅうが満たされ、気付いたときには風のように過ぎ去ってゆく。
佐々木中さんの言葉は、文章は、そしてこの本は、踊るものとして生きるものとしての勇気を与えてくれます。
一番好きな短篇は? :「「霧のなかの二人」と、やっぱり最初の「序章」が好きです。読んでてぐっと
引っ張られる引力みたいなものがあるんです。」
小暮香帆さん(ダンサー 24才)▶web
夏みたいな本だと思った。
ページを開くと同時にガヤガヤと、
大きいのや小さいの、日本語や英語、
赤いのや黒いの、男や女、泥臭いのやお洒落なの、
たくさんの言葉たちが蝉の大合唱のように乱雑に、
ひっきりなしに歌いだす。
耳が慣れた頃ページを閉じると、
突然の静寂がやってきて、ちょっと切なく、
その季節の終わりを告げる。
まったく、夏みたいな本だ。
一番好きな短篇は? :「「短夜明かし」か「親も知らない」ですね。うーん、でもやっぱり「短夜明かし」です」
山口遥さん(女優 28才)▶web
映画 『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』, 『ヌイグルマーZ』, 『独裁者、古賀』,『解放区』
ドラマ NHK BS『大島渚の帰る家』
メルマガ&Podcast 『僕らのモテるための映画聖典』
たしかにこれは、「私の話」である。
佐々木中のうつくしい文体。「私」へととめどなく流れこみ、不意を付かれ、立ち止まらされる――しかし息を凝らして沿えば、たしかに私の奥深くにある感覚や記憶を、あやまたず言い当てられているのだ。あるいは、私のなかにあると気づいていなかった何かをさえ。
一行ごとに、「私」の-「君」の輪郭は、少しずつ変わっていく、彼女たちが変わっていくように。
一番好きな短篇は? :「このなかで好きなのはやはり 「霧のなか二人」です。「この身の身上」も好きですけど」
斉藤昭子さん(国文学者)
恋をすると喋ることさえ臆病になる。
恋愛の不可能性に対する誠実さ、傷み、胸の高ぶり。
佐々木さんはいつも新しい言語体験を私にくれる。
映像や音楽では味わったことのない、知的かつ本能的な刺激が身体を走っていった。
それにしてもこの人がどうしてこんなにロマンティックなのかは、永遠の謎です。
一番好きな短篇は? :「佐々木さんの小説では『夜を吸って夜より昏い』が好きなのですが、今回の『短夜明かし』、短編集ではなくて一つらなりに長く続いている話みたいに感じられました。だから、全部!強いて、しいてしいて言うなら「次の支度」かな?」
睡蓮みどりさん(女優・映画コラムニスト 26才)▶blog
ハッ!としました。私の人生、家族の人生、友人の人生、それは、1日単位で捉えがちですが、一瞬一瞬に、こんなにも価値のあるものなのですね。この本は、客観的に自分を見るということを教え、そして、自分を作り上げる大切さを教えてくれました。しかし、これは、私の現時点の環境下で読んだためだと思います。読み返す度に新たな発見をくれる、そんな本です。2、3年後、もう一度読みたいと思います。
一番好きな短篇は? :「やはり最後の「霧のなかの二人」が一番好きです♪♪」
宮本舞さん(大学院生・読者モデル 女性 24才) ▶blog
with girls委員会 official blog
宮本舞のほんわか日和
私は佐々木中の哲学書の読者で、小説を敬遠していた。しかし一読して驚いた。読めない。と思っているといつの間にか読めている。カフカのようなユーモアに、腹が捩れそうになっている。かと思えば、また上の空で読み進めていることに気付く。と今度はぐいぐい引き込まれて、目を瞑って音楽を聴き味わうように読んでいる。ヴァージニア・ウルフのような煌き交差し往く幾筋もの流れ。ドゥルーズの「美しい本は一種の外国語で書かれている」ということばは、この本に体現されている。いつかどこかで知っていたはずの、しかし全く知らない新しい世界がここに在る。
一番好きな短篇は? :「捨て曲なしの名盤みたいな本なので、難しい。とりあえず一つとなると「親も知らない」ですかね。ふっと思い出してしまう」
T.T.さん(自営業 男性 34才)
いま私が読んでいるこの物語は、果たして誰の物語だったか。
ふと気づいたときにはもはや語り部は溶けるように誰でもなくなってしまい、なお読者の手元に積み残された執拗なまでの、“誰のものかもわからない”五感的描写にひたすら肢体を晒せば、読者は頁をめくるたびにその痛みを、懐かしさを、官能を、自らのうちに確認する。
さて今一度問う。これは果たして誰の物語、だったか。言うまでもない。
読んでしまった、以上はこれはまさしくあなたの、そしてわたしの、物語なのだ。
佐々木氏は小説のかたちを取ってなお“本を読むこと”の意味そのものを手繰ろうとしている。
一番好きな短篇は? :「晰子に再会できたという歓びで言えば「大苹果の晰子(上・下)」でしたが(笑)、それを置いて言えば、それまでの短編をゆるやかに束ねて、やにわに読み手へ鏡を向け返す「霧のなかの二人」が大好きでした。ぶつり、とレコードの針を無造作に止めたような心地を覚えるラストも好きです。」
G.M.さん(会社員 男性 31才)
夜中ふと目を覚まして、そこにいない「誰か」のことを考える瞬間。時にはその「誰か」が、もはや誰のことだかわからなくて、実際にあったことだかすらも怪しい、そんな時間。そんな不眠をわずらったとき、眠ることを諦めてこの小説の言葉をゆっくり噛みしめれば、とても甘美。そんな不思議な一冊。
一番好きな短篇は? :「こないだからまた読み返してるのですが(笑) 「序章」も好きですが、最初の「音滴る床」でしょうか。スラップスティックですよね、どこか。でもだからこそ語り手が愛らしくなるというか。」
Y.K.さん(自営業 女性 36才)
絵が描かれるのを眺めているような、
読み進めるうちにその描く運動に引き込まれていくような感覚でした。
あと、登場する女性の断片が強烈に眩しく心に残っています。
実態をつかもうとすると遠ざかってしまうのに、
その断片だけは、予感や予兆のように、はっきりと感じることができます。
...なんか抽象的やけど、読んでる時こういう印象がぱっと頭に浮かびました。
なんしか、短編やし、毎回最後になんかバラすみたいな仕掛けもあって、とっつきやすかったです!
一番好きな短篇は? :「晰子の話が一番好き。まず、名前がいいやん。晰子って。目の前でクルクル喋って、たまにハッとするようなことを言って。女子が読んでも嫌味なく晰子はかわいいからすごいよ。晰子の君の諸問題、まだ読んでなかったから買いました!」
K.O.さん(会社員 女性 27才)
とてもエロティック、なのに、よく読むとベッドシーンがまるでないことにおどろく。匂い立つような文体は、小説と小説ではないなにかのあいだを行きつ戻りつしているよう。哲学的な深みをたたえていると思えば、話し言葉のあまりの生々しさにぞくっとさせられる。最後の短篇は大好きなアンゲロプロスの映画の、あの冬のように美しい。たぶん、ひとめぐりして、また夏を迎えるための冬だから。
繰り返し読みたくなるなあ。
一番好きな短篇は? :「霧のなかの二人」は凄いって思った。だけどいちばん好きなのは「この身の身上」かなあ……」
K.K.さん(学生 女性 23才)
佐々木中さんは作家であり、演奏者だ。
8つの短篇は、ビート、テンポ、フィルインのアレンジを変えているのだけれど、紛れも無い“佐々木中のグルーヴ(=文体)”で奏でられている。その読後感は、濃密な楽曲が詰め込まれたミニ・アルバムを味わう感覚に限りなく近い。
言葉が鳴り響く文章にするすると引っ張られたら 、もう身をゆだねてしまえばいい。身体が動いてしまわざるをえない楽曲を耳にした時のように。
一番好きな短篇は? :「「大苹果の晰子」が好きですね。特に(下)の方。最後の1行で「っはぁーー(裏声)」ってなりました。そんでカメラ持って外に出たくなりました。」
J.M.さん(新聞記者 男性 28才)
佐々木さんの小説が好きで、文芸誌の連載時から楽しみに読んでいました。
一冊になって、あらためて読んでみたら、連載には無かった章が追加されていて、
それがとても良かったです。
ひとつひとつの短編には、切れ味鋭く鮮やかな"瞬間の恋の爆発"があり、視覚や嗅覚や触覚などが同時になだれ込んでくるような艶めきに満ちて、胸がキュウとつかまれます。
そんな瞬間瞬間を読み通しつないでみると、永遠とも思える世界そのもの、小説そのものがたちあらわれてきて、圧倒され、ーーすごい本を読んでしまった と 茫然自失としてしまいました。
S.O.さん(自営業 女性 33才)
人のしぐさ、服装の描写、その空間を切り取るような鮮やかな言葉使い、歌うように、つい口に出して読み進めたくなる様な文体にうっとりとしてしまいます。
晰子に再び会えたことをとても嬉しく思います。
M.A.さん(大学生 18才)
あ、鳴りやむ、鳴りやんだ、今度こそ、もう終わりか、と諦念とやや後ろ暗い安堵にひたりかけたとき、また「その静まりが止」み、同時に、重なるように薫る匂い、まぶしい光、が言葉となり、文字となって、「まるで液体のように眼から呑みこ」まされ、「不意の喉もとに飲み下す筋肉のうごきがそのまま、思いがけない喉の鳴りとなって」また、か細く、「ひそひそと、夜の底を流れていく大河の音のように」やむことなく続いていく。
襤褸曳く、その掠れ音さえも、そう呼ぶことができるなら、そう呼ばざるをえないなら、生の鳴り響きは永遠に鳴りやむことがない、ことを教えてくれた前作に続き、
小説を読むことは、決して鳴りやんだ音の再現を目前にすることではなく、彼方から響いている無数の生のどよめきの、どよめきそのものの中に、絡み絡まれ自失していく、そのプロセスそのものだということを、
そしてそれが「虚しい」ことであるどころか「歓び」そのものであることを、身をもって体験させてくれる本作が、決定的に私を、「佐々木中」という「誰か」が書いた、書くであろう小説の虜にしてしまった。
一番好きな短篇は? : 読んでいて1番スリリングだったのは
「霧の中の二人」でした
A.I.さん(自営業 36才)
これは怖い本です。前々作は闇夜に輝く生命の圧倒的な迸り、前作は真夏に浜へ打ち上げられた魂のはかなさを感じましたが、今回は自分のすぐ目の前にある世界のえぐさをポップに写し出していて身が竦みあがりました。あまりの世界との浸透圧に手を離すとふっと本が消えてしまうような気がしました。最高傑作だと思います。
Y.I.さん (公務員 32才)
力強く、流れる文体。ときに柔らかく、ときに硬い。
それは時に、読者を置き去りにする。が、決して見捨てたりはしない。
それぞれの短編が連鎖する。それぞれの短編が孤立する。
はたしてこの短編の先に何があるのか。
思い出そう。これは「君の話」であったことを。
この続きは、「君」にしかわからない。
だが、私にはまだ答えはない。
気づくと、一ページ目を捲っている。
加藤聡さん(大学院生 25才)
8月、自分の通う本屋では探せなかった。
9月、少し遅れた夏休みで北海道に帰省した。
巨きな本屋で、やっと探せた。見つけた。
北海道は、夏から秋、この秋から、あの冬に向かう
過ごしやすい季節で、のんびりとした緊張感が抜けた自分と
この場所、この季節、この自分と出会えたのは、偶然ではないはず。
しばらくぶりに会う友達と語り合うように、読む。そして、読む。
魅き込まれて行くのがわかる。
北海道の秋の終わり、東京の秋の始まり、
ボクは、この本にちょっとだけ恋をした。
すずきやすひろさん(会社員 44才)