「何も終わらない、何も。」
身も心も、ともに軋ませる愛と欲望の底の底から、
遙か権力と法の高峰までを踏破する、
圧倒的な知の昂揚と冷徹。
「勝利し敗北する歓びのために。」
上巻の前提すべてを自ら批判に晒そうとする
大胆不敵。人間の案出の力に賭け続ける、
豪快かつ繊細な思考の技藝(アート)。

重厚な原典準拠に支えられ、強靭な論理が流麗な文体で舞う。誰もがなし得なかった徹底的な読解によって、現代思想の常套を内破する「永遠の夜戦」の時空が、今ここに浮かび上がる—。『切りとれ、あの祈る手を』で思想・文学界を席巻した佐々木中の原点にして主著、補遺論文を付して遂に定本なる。女性に-なる-ラカンが叫び、知られざる泰斗・ルジャンドルが微笑する。恐れなき闘争の思想が、かくて蘇生を果たす。
息を飲む程の明快さと、余すところのない学問的な厳密さが、奇蹟のように手を取り合って進む。〈アントロポス〉の永劫の生と、抵抗する「犬」の戦いの轟きが、惨めな現状追認と停滞を痛撃する。俊傑・佐々木中の第一作にして哲学的マニフェスト、新論考を付した完全版。ミシェル・フーコーの厳密な批判的読解から不意に現れ出る、その「蜂起の魂」とは何か。絶えざる「真理への勇気」の驚嘆すべき新生。

俊傑・佐々木中の第一作にして哲学的マニフェスト。
単行本未収録の補遺論文 「この執拗な犬ども」 が付され、
遂に定本なる。


2011年6月4日刊行
佐々木 中
『定本 夜戦と永遠』上・下 [文庫] >> 目次
河出書房新社

定価:1,470円 本体価格:1,400円
上・576頁 978-4-309-41087-6 C0110 ▷www.kawade.co.jp
下・504頁 978-4-309-41088-3 C0110 ▷www.kawade.co.jp
重刷出来